組織内の人間関係の問題解決を図る一つのアプローチとして、「称賛を通じたコミュニケーション」が注目されています。
今回、同志社大学の太田肇教授に「称賛による組織の変化(組織の活性化)」についてお伺いしたことをまとめてみました。

称賛を組織に広めるためのポイントは「返報性の原理」

称賛行為による組織への影響には、相互作用的な側面があります。

つまり、自分が称賛(承認)を積極的に行うと、相手からも称賛(承認)を受けるようになります。

これを『返報性の原理』といいます。

この原理により、称賛が組織全体に広がることで、自然と職場の風土や空気が良くなったり、コミュニケーションが活性化したりといったプラスの効果が生み出されます。

まずは自分から相手に伝えることが大切

返報性の原理から、誰もが自分が称賛(承認)すれば相手も対応してくれると期待します。

また自分を評価してくれそうな人を称賛(承認)し、その人が自分を評価してくれたら、

「あの人は立派だ」

「見る目がある」

…と誰しもが思うものです。

そのため人は、自分を認めてくれない人を認めようとはしません。

相手から認めてもらえないということは、自分の存在価値が否定されるため、自分のことを悪く言う人を積極的に称賛(承認)しません。

組織に影響を与えるためには、称賛(承認)をお互いが自主的に行うことが重要なのです。

みんなで良いところを探す

称賛(承認)が広がれば、お互いに前向きな対応を行うようになります。

なぜなら、相手を称賛しよう・認めようとすると、相手の良いところを探したり、観察する視点(意識)が生まれ、たりして、お互いが前向きになる意識が生まれるのです。

例えば、授業の研究発表に関するアンケートをとるとします。

「改善すべき点や悪かった点を書いてください」

このような質問を外部の人や管理職・同僚に伝えると、その人たちは発表者の良くないところを探します。

すると発表者側は“みんな欠点を探そうとしている”と思うようになり、発表者は反発・嫌悪感を抱くようになります。

一方、「良かった点を書いてください」

このように伝えると、”みんな自分のいいところを探そうとしてくれている”ということが発表者側に伝わります。

それにより、発表者側は期待に応えようと、より良い授業実践を目指すようになるのです。

つまり、お互いが良いところを称賛し合ったり認め合ったりする関係になれば、自然とポジティブ(前向き)な視点が生まれ、職場全体の空気(人間関係)が良くなります。

まとめ

称賛(承認)を組織に広めるポイントとして、「返報性の原理」があります。

その原理が組織にあらわれるためには、まずは自分から称賛(承認)を相手に伝えることが大切です。

そして称賛を送るために、みんなでお互いの良いところ探しあえば、自然と認めやすくなる環境が作られ、ポジティブな組織風土が築かれるでしょう。